Wed

10

Aug

2011

時間的無限大 (ハヤカワ文庫SF)

先に読んだ「虚空のリング」以来、待ちわびていたスティーブン・バクスターの長編ですが、まったく期待を裏切らない面白さでした。「虚空のリング」のあとジーリークロニクルということで、短編集を2冊読んではいたのですが、やはりこの人(というかジーリーシリーズ)は長編こそ醍醐味があると思わせます。本書はジーリークロニクルの歴史で語られる人類初期の異星人支配であるスクィームとクワックスのうち、クワックスの異星人支配を背景に物語が進行します。Ringでも登場したキーパーソン(意識だけの存在ですが)マイケル・プールが本書では実体のある人物として登場し、活躍をするところも楽しみです。


物語のキーであるワームホールとそれによる時間旅行は、人類始まって以来の夢でもありパラドックスでもあると思うのですが、この人の小説の中ではあっさりとしかも不自然なく?存在しているのが凄いです。日本人とかだとついタイムパラドックスを難しく考えてしまうのですが。。。それでも最近のハードSFに見られる量子力学の波動関数なる考え方は、未だに馴染みません。本小説もこの波動関数の捉え方がキーとなっており、また作者の宇宙観の根本をなしているようなのですが、難しい物理学は本当に実感が湧かないものです。まあ宇宙のスケールそのものが実感湧かないものなのですが。。。 

ジーリーの正体(というか実体)は本作でもおぼろげですが、この広い宇宙にこんな存在の可能性を夢見るのもまた楽しいものです。とにかくも本著は異星人とのバトルシーンもあり、まったく飽きませんが、一転だけ登場人物に派手さがなかったり、極端な見せ場がなく淡々としたストーリー構成はイギリス人特有のものなのでしょうか!?次作も楽しみにしています!

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