Sat
08
Oct
2011
最近読み進めていたジーリークロニクルから離れて、同じバクスター作品ですがなんとあの古典的名作H・G・ウェルズの「タイムマシン」の続編です。タイムマシンの続編の形を取りながらも、タイムパラドックスの理論付け?に挑んでいたり、悠久の時間である過去と未来、有限と無限の気が遠くなるような話など、バクスターらしい考察に富んでいて終始飽きさせません。ジーリーシリーズで少し地味な印象もあったバクスターですが、このタイムシップはオリジナルのタイムマシンを凌駕するとも言える素晴らしい作品ですね。
下巻のあるところで、バクスターの宇宙観を思わせる肉体から遊離した意識(精神)の存在が宇宙を支配しているような描写があります。ジーリーシリーズでも度々出てくる描写なので、彼の宇宙への考え方の原点を垣間見ることができます。それでも本書タイムシップはウェルズへのオマージュとして、ラストも心地よい希望に満ちたエンディングで、本当にSFの中でも屈指の名作だと思います。
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