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30

Dec

2018

聴く! 技術士二次試験 一発合格のツボ

既に今月の初旬には刊行されていた待望の新版となるこの「聴く! 技術士二次試験 一発合格のツボ」ですが、実は訳あって昨日に手に入れることが出来ました。しかもなんと著者の山崎恭司さんから手渡しで頂いたという光栄なシチュエーションでした。なぜこんな名誉な事態になったのかというのは、実は(趣味とITリテラシーの補完のつもりでしかなかった)このブログがご縁になった次第です。思えば最初の衛生工学部門の技術士二次試験に合格した経緯をこの当時の記事に書き連ねたのが2015年3月のことだったのですが、その後の2015年6月にこのブログ記事を読んでくださった山崎さんからメールをいただき、まずは改訂版を計画されている中で合格体験記を掲載いただけないかというお話をいただきました。
 その後、2017年3月に総合監理部門に合格できた際にもメールをいただき、その頃から次の新版の執筆ペースが加速されたようで、新版に掲載される技術ノートについてデジタルノートにも触れられるということでしたので、実は原稿の段階でそこのページだけでしたが事前に読む機会なども頂いておりました。実は今回の新版には、執筆協力ということで名前も掲載いただいたという非常に光栄なことになったのですが、私が協力できたことと言えば、そのデジタルノートの原稿を事前に読ませていただいたことと、ブログの感想文をそのまま掲載いただいたという程度です。何ともそれだけで執筆協力というのも申し訳ない次第だったのですが、どちらかというと書籍を手渡しで頂けるというメールをいただいていからは、そちらの方に気が向いてしまい今回6年振りの年末年始の日本帰省も何としてでも実現しようと頑張った次第です。

 実際にお会いした昨日の都内は、実は朝から本当に寒くて東南アジアの気候になれた身にはしんどかったのですが、喫茶店で山崎さんとお会いした瞬間から興奮してしまい2時間近くノンストップで(どちらかというとこちらが一方的にお話ししてしまったような気もしなくもないのですが)時間が経つのを忘れてしまいました。実は、前著の文章も然りなのですが、たまに配信されているメルマガの文章も実は受験者を奮い立たせる趣向!から、相当に切り口の鋭く読み手の心に容赦なく響かせようとする文体で、正直なところお会いするまでは人物像を想像することが出来なかったのですが、お会いした山崎さんは物腰のソフトな目上の人という雰囲気で、それも手伝ってすっかり気が和んだということもあるかと思います。本音を言うと、最初のブログ記事に書いた通り「出会い」の本でしかも確実に自分の人生を変えた書籍の著者に会える機会などは、一生の中でほぼないだろうという気負いもありましたので、お話をお伺いする中でも自分がどれだけ著作から影響と感動を頂いたのかの思いのたけを伝えようと思っていましたので、山崎さんにしてみればちょっと面食らってしまったかも知れません(恐らくはこのブログ記事も、お時間ある時に読んでくださると思われますので、この場で改めてご容赦いただければと思います)。
 そんなことで頂いた書籍を、所沢へ帰る西武線の特急小江戸の中で読み始めたのですが、実は頂いたときに感じたのですが、ボリュームも増えページも厚くなっていましたので、読後の感想は年明け最初のブログ記事だなと思っていたのですが、結局その日のうちに読了してしまいました。もちろん、自分が受験者として読む立場にはもうないなと思いつつも、穴の開くまで隅々読んだ挙句に、場所によっては2度3度と読み直したのは言うまでもありません。というのも前著で、自分が最初にノウハウ以上に感銘を受けた「試験に臨む考え方」とそれに伴う「試験によって変わる(変えざるをえない)周囲との覚悟」というものを今一度期待して読み進めていたというのもあります。

 今回お会いした時にも山崎さんに直接お伝えできたのですが、前著の「聴く!技術士二次試験論文のツボ」も技術士のノウハウ本としての意義以上に、試験に対する臨み方、試験は技術士のスタート地点に過ぎない(当然のことなのですが、試験自体を目的化しないという俯瞰した見方が勉強を切り抜ける上でとてつもなく大事になるのです!)という考え方、更には技術士と言えどもしょせんは一つの資格試験、されども資格試験、人生という限られた時間の中で取ると決めた人に取って、どう臨むべきかを分かりやすく真摯に述べられています。もちろん、これらを述べられた中で肝心の!一発合格するためのノウハウを来年度から大きく変更となる試験制度に合わせて、詳細に述べられているのは前著と変わりありません。書籍のページ数が増えた要因の一つに昨今のITツールを活用すべく、デジタルノートを始めとしたソフトウェアの使い方みたいなものも詳細に述べられている辺りは、ここら辺の本質ではない部分はこの本で速やかに習得してくださいという、山崎さんの本気の愛情と熱意なのでしょう。

 今回の新版の特徴として、この技術士という資格試験を効率よくかつ確実に取る手段としてのノウハウと同時に避けては通れない取るための覚悟を前著以上に強調されて、何度も繰り返し述べられていることが挙げられます。そんな中でこれらを読者に確実に伝えたいがために表現としても前著以上にかつ強烈に述べられていますので、人によってはその時点で読むのを止めてしまうのではと思わなくもない感じでなんだか心配になってしまう程です。しかし、この点こそが前著も含めてなのですが、山崎さんがこの著作の中で伝えたい技術士試験を乗り越えるための本質である「あなたが一発合格する条件(それもたったの2つだけなのですが…)」を伝えたいというこの本のまさに本質なのだと思うからです。この著作のタイトルにもなっている「一発合格するための条件」であるたった2つのこと(されど最も重要な2つのこと)ですが、一つは本気を超えた「ソノ気になる」ということと、もう一つは「試験はコミュニケーションである(それも試験官のためだけの)」ということです。

 この最初の条件である「ソノ気になる」ことについてですが、前述した山崎さんから最初にいただいたメールへの返信で、自分が下記のような文言をしたためていたのを見つけました。

1年間を通じての長丁場の試験ですが、改めて振り返ると、自分が費やす時間が無駄になるのではという「恐怖」との戦いでもあったかと思います。
いままでは意識していなくてもそこから逃げており、今回初めてその「恐怖」と真正面から向き合いまして、実際に相当しんどかった記憶が蘇ります。
それに耐える事ができたのも、著作にあった励ましと「合格を信じること」だったかと思います。

これは前著を読んで、とにかく一発で合格するためには自分が「ソノ気になる」以外の方法はないということを繰り返し読んでいるうちに、ふとそれ以前はなぜ自分は受からなかったのか、そもそも受かる気(「ソノ気」)があったのかと考えたのですが、受かった後に冷静に分析した時に、上のメールで返信したような想いに至ったのです。今思えば技術士を取る「ソノ気」が本気でなかった、ようは自分が費やす時間が合格という対価で返ってこなかった時の「恐怖」と向き合う勇気がなかったという単にそれだけのシンプルなことだったのではと思います。実は前著でも今回の新版である本著でも一番最初にかつ一番協調されていると思われるのが、本気で受かる気(「ソノ気になる」)ことの重要性なのです。これは試験に受かりたい人が読む本である以上、敢えて言うことではない「当たり前」のことじゃないかと思われるかも知れません。確かに山崎さんの著作以外でこんな「当たり前」のことを、しかもこれだけクドイ!位に述べられている本を技術士以外の試験本を含めて読んだ記憶がありません。なので、恐らくはほとんどの方が著者も読者も含めて、そんなこと(試験に受かりたいと思う人間が本気(「ソノ気」)になること)は当然のこと過ぎる前提なので、わざわざ本の貴重なページを使って述べるようなことではないと考えているのだと思います。しかし、実はこの一番重要かつ最初に本気(「ソノ気」)にならなければ始まらないこの「当たり前」のことが出来ていない人が(この著作に「出会う」前の自分も含めてですが)ほとんどなのではと思います。
 実は自分は相当な「凝り性」で俗にいう「ハマるタイプ」なのですが、思えば前著を読んで勉強の仕方を知ったその年の前半の勉強期間は技術士勉強に「ハマった状態」だったのかと思います。趣味やスポーツ、仕事にも「ハマる時期」というのがあるかと思いますが、それはある程度、経験や知識を得て「やり方」が分かるとその時期になるのかと勝手に思っています。そういう意味では前著を読んで今まで分からなかった勉強の「やり方」が分かった(気になった?)自分が「ハマった」のも自然な流れだったのかも知れません。そういった意味でも、山崎さんの著作は「ヤル気」はあるけど「ハマれない」人たちを一気に「ハマった状態」(これが「ソノ気」なのかも知れません)に後押ししてくれる本だとも言えるでしょう。

 そしてもう一つの条件である「試験はコミュニケーション」というのは、これも当たり前過ぎることなのですが、技術士試験に限らずに資格試験である以上は、避けては通れない本質で、実は普段の仕事の業務にも通じる普遍的な常識とも言える内容なのですが、だから敢えて誰も言ってくれないので足をすくわれる受験者が多いということなのだと理解しています。あくまで試験は試験官に合格させてもらう判断を提供する仕組みであって、それ以上でもそれ以下のものではないということから、試験官が主導権を全て握って、合格の成否は全て試験官が握っているという至極当然のことも、考えれば分かりそうな真実ではあるのですが、やはりこれが見えていない(もしくは頭では理解しているつもりでも、実は実践できていない)受験者が多いということなのでしょう。先日に読んだ見城徹氏の「憂鬱でなければ仕事じゃない」にあった名言である「努力は自分、評価は他人」ではないのですが、要は「答案は自分、合否は試験官」といったところでしょうか。

 前著も確かにそうだったのですが、新版となった本著もある意味では前著以上に最初の冒頭からいきなり試験の本質でもある「合格後、あなたに訪れる大きな変化」という主題を持ってきています。この単元の「ウラの変化」(もちろんきちんと「オモテの変化」の後に述べられているのですが)の内容があまりにも自分のことと符合していて、読んでいて苦笑を超えて若干居心地の悪さを感じた程です。これはもちろん、読者に技術士試験に臨むために本書を読破してもらうための最初の「掴み」の役目ではあるのですが、試験を終えた自分が言うのでほぼ間違いないと思いますが、これと似たような体験をする方が多いのではないでしょうか。中でもコンプレックスについては言いえて妙で、私自身が技術士を取得して「会社組織の中での技術士」という点で(私の会社は技術士を取得しても、特に手当ても職位も直接は影響がないのですが)一番有意義だと実感したのが、この「ウラの変化」で述べられていることです。
 実は同じ技術者同士、特に社内という狭い組織の中ですら、今に思えばなんて小さなことだと思えるのですが、何かの仕事のやり方(知識も含めて)を知っている/知らないを意識しあって、知ったふりや素直に聞けないなんてことが事実としてあったように記憶しています。それが技術士取得後は、不思議なことなのですが本当に色々な意味で謙虚にもなれたので、(技術士の自分でも)知らないことは知らない、新人の後輩にすら分からなかったことはその場で聞くのに何のためらいもなくなったりと(きっと無意識ではあるのですが、技術士の自分だって知らないんなら仕方がないし、そもそも社内の知識なんてその程度でしょ、みたいな気持ちの余裕が出来たのだと思います)、これはもう何か気持ちの余裕という言葉では足りない、何か新しい心の寛容性が拡張されたような感じがあります。この変化の主眼は、技術士取得の勉強の過程で、いかに自分の知識や経験が狭い社会の中だけのものだったか、視野が狭いものだったかに気付かされた裏返しの結果なのだと思います。そしてこれこそが山崎さんが著作の中の「ウラの変化」で述べている本質で、その結果の事象が描かれているに過ぎないと思っています。

 本当に今年最後に最高の思い出となりました山崎さんとの短いながらも充実した喫茶店での会話だったのですが、「著作との出会い」を「本物の出会い」に押し上げてくれたのがこの趣味ブログだったというのは、何とも不思議な感じがしております。結果として、ブログの番外編として公開することが出来た「技術士【衛生工学部門】合格のツボ!」も山崎さんとのメールのやり取りがきっかけで本気でまとめることが出来た訳なので、今後はもう少しこのブログの力みたいなものを信じて、まずは未だに完結していない「口頭対策編」を近いうちに公開していきたいと思います。

 昨日の会話を思い出すとブログに書きたいネタは尽きないのですが、そろそろ終わりにする代わりに、私が好きな名言の一つである、かのアイザック・ニュートンが述べた名句を記して一区切りにしたいと思います(というのもこの名句が、技術士取得の後に訪れた自分の意識の変化を一番端的に表しているからです)。

I was like a boy playing on the sea-shore,
and diverting myself now and then
finding a smoother pebble or a prettier shell than ordinary,
whilst the great ocean of truth lay all undiscovered before me.

私は海辺で遊んでいる少年のようである。
時折、普通よりもなめらかな小石や
かわいい貝殻を見つけて夢中になっている。
真理の大海は、全てが未発見のまま、
私の目の前に広がっているというのに。


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