Sat

11

Apr

2020

今となっては遠い昔のようにも感じますが、何度も飛行機に乗っていた2,3年前に機内で観たことがあります。今回改めてAmazon Primeで借りなおして(字幕版でなんと199円!)改めて観てみました。当時も出演している豪華な俳優陣(マット・デイモンジュード・ロウローレンス・フィッシュバーン)の割には地味な映画という印象でしたが、特に起伏もなく淡々とパンデミックが起きたとしたらという視点で進んでいくストーリーは、今まさにパンデミックの最中に観るとなんとも背筋が寒くなるものがあります。映画では香港が発生源になっていますが、今回の中国の武漢の発生源とオーバーラップしており、グローバル化と相まっていとも簡単に世界中にウィルスが蔓延していく様は本当に今年のこの事態をシミュレーションしたかの如くです。
 スタートのテロップがDay2というのが一瞬タイトルのクレジットと合わせて見忘れたのか!?と思わせるのですが、映画のラストでその謎が解けます。そのままDay3,4,5,・・・164と年末に向けて半年以上の世界情勢を追える進行は、ドキュメンタリーをみているかのような錯覚をおこしますが、年明けからの今日の状況と酷似しているのもソダーバーグ監督の綿密な取材の賜物なのでしょうか。実際の機関であるWHOやCDCの登場人物が軸になっているところも映画の中では臨場感がありましたが、今日の存在感の薄さを考えるとなかなか現実はこのような専門機関が活躍する余地が少ないということでもあるのかと妙なところで納得したりもさせられます。
 パンデミックが進むにつれて社会不安が大きくなり、スーパーでの略奪や主人公でもあるマッドデイモンの近所での強盗など治安悪化が進むところが感染のピークとも言えますが、現実の社会ではそこまでの状況悪化は(今のところは)伝えられていないのが、せめてもの救いともいえます。映画の方はCDCのワクチン開発が早々に成果を見せて、ワクチンが製造され抽選で米国を中心とした庶民に行き渡る(それでも誕生日抽選で何百日も待たされることになる!?)あたりで、収束の予感を残しつつクライマックスの種明かしに進みます。最初の感染者であるベスがどのように感染したかが、”Day1″として描かれて終わるのですが、そこで示唆されている野生動物との接点、その遠因になったベスの会社でもある企業の自然破壊と人類の進出が暗喩として啓示されるラストは、この先も同じことが何度でも繰り返されるという警鐘でもあります。

 なかなかSF小説でも起りえないような急激な現実世界のこのパンデミックの最中に鑑賞するか迷う映画ではありますが、2011年というつい最近に制作された映画でもあり、十分に今日の状況を予測できていた人類のもう一つの可能性の証として、観てみるのも興味深いのではないでしょうか。本当に思うのは、願わくばこの映画のように早急にワクチンが出来て、むしろワクチンの争奪戦が起きるぐらいの状況に早くなって欲しいというところでしょうか(流石に明るい落ちが浮かばない今日この頃の状況ではあります。。。)


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