小松左京氏の訃報
仕事と勉強と社会
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いつかはこの日が来るとは思っていましたが、それが今日になるとはという想いで一杯です。言わずと知れたSF界の巨匠、小松左京氏の訃報が日本からきました。思えば中学生か、高校生か忘れましたが「復活の日」を読んだ時の衝撃は、まだなまなましく覚えています。他にも「さよならジュピター」と「日本沈没」ほか、影響を与えられた作品には事欠かないです。もちろん日本SFのみならず世界のSF作家の中でも、自分が最も好きな作家のひとりであることは言うまでもありません。作品世界の背景の確かさと、物語ラストは希望を忘れない締め方など自分が好きな小説の要点をきちんと押さえている作家の一人でもあります。
作品としては古いようですが、最近読んだ「果しなき流れの果に」などは、小松左京氏の宇宙観と人生観が融合された物語構成と、作中人物の結末に涙が出るほど感動というか感銘してしまう作品です。SF小説を読んでて思うのは、小さい人間の尺度とまだ不明瞭な宇宙との対比のギャップですが、この作品などはそんなギャップも人間の創造力で埋める可能性を秘めていると暗示させてくれる内容です。これほど人類の未来に希望を描ける作品もないのでないでしょうか。確かに近年は未完の大作「虚無回廊」をはじめとして、息切れではないですがかつての執筆パワーは感じなくなっていましたが。。。それがこのような形で終わってしまうのは、本当に残念です。
長編で読んだ範囲で、ベスト5を挙げると下記の順になるでしょうか。
1.「復活の日」
2.「さよならジュピター」
3.「果しなき流れの果に」
4.「日本沈没」
5.「こちらニッポン…」
他にも映画化された「首都消失」や「ゴルディアスの結び目」などどれもこれも他の作家にはない独創性のほか、氏の感性の次元の違いを感じさせる作品ばかりです。「虚無回廊」は壮大なスケールと小松左京氏の集大成になり得るテーマを含んでいただけに、未完で終わったことは残念以外のそのものです。歴史に残る未完の大作の一つとなってしまうのでしょうね。。
といっても短編を含めると全てを読んだ訳ではないので、今回の訃報を機会にではないのですが、読み残した作品を読んでみたいと思います。本当に素敵で壮大な作品をありがとうございました!!!今後の日本(というか人類)の未来を見守りつつ、安らかにお眠りください。
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