Fri
30
Oct
2020
書評だけを頼りに新しい作家を開拓してみるということで、イアン・R・マクラウドの「夏の涯ての島」を購入して読んでみました。一応、SFをモチーフにした短編が多いのですが、全般的にはやはりファンタジーというか人の心の心情描写に力点を置いている作品群と言った感じです。普段読みなれているSF小説とは大分味わいが違うので正直なところ、面食らった感もあるのですが、まあ何とか全編を読了することが出来ました。
表題作の「夏の涯ての島」はいわゆる歴史改変ものというところで、独裁政権者のアーサーとの知己である主人公の歴史学者の回想から揺れる心情を中心に描いています。全体的にちょっと暗めの話が多い印象なのですが、一番SFモチーフに馴染みがありそうな「ドレイクの方程式に新しい光を」についても、閉塞感のある近未来における主人公の苦悩!を中心に描かれています。
ファンタジーっぽい作品群ですが、SF的なモチーフのものが多いので、SFファンでもなんとか楽しめそうなファンタジーといった位置づけでしょうか。文体は何とも物静かで淡々と進む話が多い感じがします。興味を持たれたら一読するのもよいかなといったところでしょうか。
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