Sun
16
Apr
2023
通販で購入してから満を期して読んだ感のある三体の外伝とも言える「三体X 観想之宙」を読了しました。先に断り書きにもあるように三体の外伝の位置付けながら、作者は当時は一人の三体のファンであった宝樹氏がネット上に投稿したものがベースで出版されたということで、一ファンの作品がそのまま外伝になったという異色の経緯ではあります。しかしながら、この宝樹氏はその後、中国を代表するSF作家となっているようですし、実際に先日読了した「時間の王」でそのエンターテインメント性と内容に緻密さは折り紙付きと言えますので、そういった意味ではこの「三体X 観想之宙」もヒットして然るべき作品と言えるのかも知れません。
時間軸は三体本伝の三作目にあたる「三体Ⅲ 死神永生」で脳だけを三体艦隊に送られて補足され、その後、重要なメッセージを地球に伝えるという役割をする雲天明が三体艦隊で過ごした時間を回想するエピソードから始まっています。そして、そのまま雲天明がキーマンとして、第二部、第三部とエピソードが続くのですが、三部目の天萼(てんがく)に至ると既に三体本作のスケールをある意味では超えた!驚愕のスケールでの宇宙創造の歴史の話の展開となり、別の意味で三体の外伝ではない一つのSF大作として読みたいという欲求が出てきてしまいます。
三体本作に勝るとも劣らないというのがぴったりの、期待以上の外伝です。外伝を書くつもりでここまでのスケールに展開できるのは、もう確かにSF作家としての才能でしょうから、その後の活躍は推して知るべしというところでしょうか。
ということで、内容は読んでからのお楽しみということで、本作の著者でない外伝ということで躊躇している方は是非とももったいないですし、期待以上の作品ですので、お勧めしたいと思います!本当に宝樹氏の新作の長編をいつの日が読める日を心待ちにしています。
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